マイホームといえば新築を思い浮かべる方も多いですが、近年では「価格を抑えながら、自分好みにリノベーションできる中古マンション」に注目が集まっています。特に築古物件は割安で購入できる一方で、「耐震性は大丈夫なのか」「建物の寿命はどのくらいなのか」「築50年を超える中古マンションは買ってもよいのか」など、不安や疑問を抱く方も少なくありません。
実際、中古マンションの価値や安全性を判断する上では、築年数だけでなく、耐震基準を満たしているか、修繕履歴や管理状態はどうか、といったポイントを確認することが欠かせません。特に築50年以上経過したマンションは「旧耐震基準」で建てられている可能性が高いため、耐震補強の有無をしっかりチェックする必要があります。
この記事では、築50年を超える中古マンションの耐震性や寿命の考え方、そして資産価値を意識した「買い時」の見極め方について詳しく解説します。中古マンション購入やリノベーションを検討している方に役立つ情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

・築50年超の中古マンションでも、築年数だけで判断しない方がよい。
・新耐震・旧耐震の違いを正しく理解し、耐震診断や補強の有無、建物の形状を確認することが重要。
・マンションの寿命は一律ではなく、管理状態や修繕の履歴によって大きく左右される。
・価格・資産価値・将来の売却可能性は、築年数よりも立地条件と管理体制の影響が大きい。
・住宅ローンや住宅ローン控除は、現在の制度に即した条件確認が必須で、物件ごとの差が出やすい。
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地震が多い日本では、これから購入しようとしている住宅や今自分が住んでいる住宅が、地震に対してどれだけ耐えられるかが気になるところです。しかも、日本では法令で建物に最低限求められる耐震基準がしっかり決まっています。法律上、現実上、どんな耐震性能が求められているのでしょうか。
地震大国・日本では大きな地震が起こるたびに、建物の耐震基準が見直され、法令が改訂を重ねてきました。ただし、現行の耐震基準は、耐震基準を大幅に見直した1981年6月1日施行の改正建築基準法(及び施行令)の内容を基本としています。その後も大地震が起きるたびに地震の被害を教訓にして法令が見直されてきましたが、大幅に耐震基準が改正された1981年6月の改正建築基準法が大きなターニングポイントになりました。そのため、1981年6月の建築基準法改正以降の耐震基準は「新耐震基準」、1981年5月以前の耐震基準は「旧耐震基準」と呼ばれ、新耐震基準が現行の標準となっています。
したがって、1981年5月以前の旧耐震基準時代の建物か1981年6月以降の新耐震基準時代の建物かで耐震性能が大きく異なります。そのため、中古住宅を選ぶときは、その物件が新耐震基準にもとづいているか、旧耐震基準にもとづいているかをしっかり確認してください。
新耐震基準と旧耐震基準の最大の違いは、「どの規模の地震まで想定して建物の安全性を確保しているか」という点にあります。違いを確認してみましょう。
| 旧耐震基準 | 新耐震基準 | |
|---|---|---|
| 適用時期 | 1981年5月31日以前 | 1981年6月1日以降 |
| 想定する地震規模 | 震度5程度 | 震度5強〜7程度 |
| 中規模地震への考え方 | 倒壊しない | ほとんど損傷しない |
| 大規模地震への考え方 | ― | 倒壊・崩壊しない |
旧耐震基準では、震度5程度の中規模地震で建物がすぐに崩壊しないことが前提とされており、震度6強〜7クラスの大地震に対する明確な基準は設けられていませんでした。新耐震基準では、頻繁に起こる中規模地震では建物の損傷を最小限に抑え、まれに発生する大規模地震でも倒壊せず、人命を守ることが重視されています。
そのため、一般的には新耐震基準の中古物件のほうが安心とされます。ただし、旧耐震基準の建物であっても、耐震診断を実施し、新耐震基準相当の性能を満たすことが確認されている場合や、適切な耐震補強工事が行われている場合には、地震への備えがどの程度なされているかの判断材料になるでしょう。
ちなみに、中古物件の築年月が建築基準法改正直後の1981年後半~1983年前半くらいの場合は、新耐震基準の建物と旧耐震基準の建物が混じっている可能性が高く注意が必要です。新・旧どちらの耐震基準にもとづいているかを確認するには、該当物件の「着工日」や「完成日」ではなく、「建築確認済証」の日付をチェックしましょう。
「建築確認」とは、これから建てようとする建物が関係する法令や規定を満たしているか、役所や指定確認検査機関の審査を受けることです。この審査に合格しなければ建築工事に着手することができません。審査の結果、関係法令や規定に適合していれば、建築確認済証が交付され無事着工の運びとなります。
しかし、建築確認済証が交付から建物が完成するまでには日にちがかかります。例えば、物件の完成日が1982年1月31日であっても、建築確認済証の日付が1981年5月31日であれば、旧耐震基準での建築確認審査となるため、旧耐震基準の建物ということになります。
そのため、物件の築年月日が1981年後半~1983年前半くらいの場合は、特に注意が必要です。物件の築年月日が1981年後半~1983年前半にあたる場合は、必ず「建築確認済証」の日付を確認し、対象物件が新耐震基準の建物か旧耐震基準の建物かをしっかりチェックしましょう。
新耐震基準に関する詳しい内容や、旧耐震基準時代の新耐震基準を満たす建物について、『今さら聞けない!新耐震基準の建物はどれくらいの地震に耐えられるの?』でも解説しています。
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詳しくはこちら>>旧耐震基準の中古物件は「地震に弱く危険」というイメージを持たれがちですが、メリットとデメリットの両面を理解したうえで判断することが大切です。旧耐震物件の大きな魅力は、立地条件の良い物件を比較的手ごろな価格で購入できる点にあります。一方で、耐震性の確認や補強の有無、住宅ローンや税制優遇の適用条件など、慎重に確認すべき点も。価格の安さだけで判断せず、建物の安全性・将来性・資金計画まで含めて総合的に検討することが、後悔しないためのポイントです。
旧耐震のメリットは、何より物件価格が手ごろなことです。大都市や駅近など、新築や築浅だと高価格になりがちな立地でも、驚くような価格で購入できることがあります。
職場へのアクセスを気にされる方や、立地や資産価値を重視して購入したい方にとって、非常に大きなメリットになるでしょう。築浅だとなかなか良い物件が見つからないときにも、旧耐震まで範囲を広げて探すことで、思わぬ割安な物件に出会えることがあります。
旧耐震基準の中古物件を検討する際、いくつかの注意点をチェックしましょう。
まず、住宅ローンや税制優遇の条件を満たしにくいことに注意が必要です。現在の住宅ローン控除では築年数による制限はなくなっていますが、原則として新耐震基準に適合していること、あるいは耐震基準適合証明書などの取得が求められます。旧耐震の物件では、この証明書の取得が難しかったり、そのための追加費用が発生したりするケースも。そのほか、不動産取得税や登録免許税、贈与税の特例などで制限を受ける場合があります。
さらに、金融機関の評価が低くなりやすい点もデメリットのひとつ。金融機関によっては築年数や耐震性を重視し、融資額が抑えられたり、借入期間が短くなったりすることがあります。その結果、自己資金(頭金)を多めに用意する必要が生じるかもしれません。
このように、旧耐震の中古物件は魅力的な価格設定である一方、耐震性・資金計画・将来のリスクを十分に確認しないまま購入すると、想定外の負担が発生する場合があります。購入前には、ローン条件や税制の適用条件も含めて、専門家に相談しながら慎重に判断することが大切です。
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地震に弱いとされる建物に多い共通点は、建物の形状によって地震の力が偏って伝わりやすいこと。長方形などの整った形状の建物は、揺れが全体に均等に伝わりやすいのですが、平面や立面が不整形な建物では、特定の部分に大きな力が集中して損傷や変形が起こりやすくなります。
また、1階部分の壁が少ない構造や、上下階で構造バランスが大きく異なる建物も要注意。ただし、形状が複雑な建物であっても、エキスパンションジョイントによって建物を分割し、揺れの差を吸収する設計がされている場合は、一定の耐震性が確保されているケースもあります。「形が複雑=危険」と決めつけるのではなく、構造上どこに負荷が集中しやすいかを理解したうえで判断しましょう。
L型やコ型のマンションは、真上から見た平面形状が不整形な建物に該当し、地震に弱い形状です。
セットバック型は、道路斜線などの影響を受けて、建物の一部が低くなっている段形状の建物を指します。セットバック型のマンションは、正面から見た立面形状が不整形で、地震に弱い建物です。
雁行型は前後に少しずらした形状の建物を指します。雁行型も平面形状が不整形な建物に該当します。
ピロティとは、1階の外周部分に壁がなく、ほとんど柱のみの建物をいいます。1階部分は柱のみのため変形しやすく、一方で2階以上は耐力壁が地震の力に抵抗します。そのため、1階の柱に大きな力が加わって壊れやすい構造です。
高さに対する幅の割合が一定以下の極端なペンシル型の建物は、塔状建物と呼ばれています。搭状建物はバランスが悪く、地震の影響を受けやすいです。

このように1階が店舗になっている物件も、地震に弱い可能性があります。理由としては、店舗だと前面がガラス張りになっていたり、広い空間をつくるために壁が少なかったりすることが多いからです。ピロティ型と同様に、1階部分の柱に大きな力が集中すると危険です。
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詳しくはこちら>>マンションの寿命は一律に決まるものではなく、適切な管理・修繕の有無、建物の構造によって大きく左右されます。専門家の研究によると、鉄筋コンクリート造マンションは50〜60年以上の耐久性があり、適切なメンテナンスを行えば100年を超える使用も可能とされています。
鉄筋コンクリート造マンションの寿命に関する主な見解
| 想定寿命 | 根拠・考え方 | 発表年 |
|---|---|---|
| 56年(事務所) 68年(住宅) | 固定資産台帳から平均寿命を推定 | 2013年 |
| 117年 | 物理的な減耗度調査にもとづく推定寿命 | 1979年 |
| 50年以上 | 実際に50年経過した部材の耐久調査 | 1974年 |
| 120〜150年 | 鉄筋コンクリート構造体の理論的耐用年数(外塗装により延命) | 1951年 |
| 47年(参考) | 税務上の減価償却耐用年数 | ― |
※出典:「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」(平成25年)│国土交通省
ただし、これらの数値はコンクリートの物理的な寿命や制度上の耐用年数を示すもののため、マンションの寿命=実際に住み続けられる年数というわけではありません。重要なポイントは、定期的な修繕や時代に合わせた改修が行われているかどうかです。例えば、「エレベーターがない」「家族構成が変わった」などの理由で人が住まなくなり、十分なメンテナンスができずに建物の寿命を縮めてしまうケースがあります。また、日本ではマンションが本格的に普及し始めたのが1960~1970年代と比較的歴史が浅く、適切なメンテナンスを重ねながら長期間住み続けた事例は、まだ多くはありません。こういった日本の現状がマンションの寿命をわかりにくくしています。
なお、欧米ではマンションの補修をしながら100年以上住み続けているケースも少なくありません。日本でもマンションに必要なメンテナンスを定期的に行い、劣化が進んだ場合には抜本的なリフォームやリノベーションを実施することによって、マンションの寿命を伸ばすことは可能なはずです。
実際に、1981年以降の新耐震基準にもとづいて建てられた築20年~築35年クラスのマンションはリノベーション向け物件として需要があり、人が住み続けています。したがって、マンションの寿命は最低でも50~60年、それから先は物件ごとの状態によると考えていいでしょう。
中古マンションの築年月は、不動産広告や登記簿では和暦表記が使われることが多く、特に複数の元号にまたがる物件では築年数が直感的に分かりにくいことがあります。そこで、2026年時点を基準に、西暦・和暦・築年数を一覧で整理しました。
【令和】築年数早見表(2026年基準)
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 2026年 | 令和8年 | 新築 |
| 2025年 | 令和7年 | 1年 |
| 2024年 | 令和6年 | 2年 |
| 2023年 | 令和5年 | 3年 |
| 2022年 | 令和4年 | 4年 |
| 2021年 | 令和3年 | 5年 |
| 2020年 | 令和2年 | 6年 |
| 2019年 | 令和元年 | 7年 |
【平成】築年数早見表(2026年基準)
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 2018年 | 平成30年 | 8年 |
| 2017年 | 平成29年 | 9年 |
| 2016年 | 平成28年 | 10年 |
| 2015年 | 平成27年 | 11年 |
| 2014年 | 平成26年 | 12年 |
| 2013年 | 平成25年 | 13年 |
| 2012年 | 平成24年 | 14年 |
| 2011年 | 平成23年 | 15年 |
| 2010年 | 平成22年 | 16年 |
| 2009年 | 平成21年 | 17年 |
| 2008年 | 平成20年 | 18年 |
| 2007年 | 平成19年 | 19年 |
| 2006年 | 平成18年 | 20年 |
| 2005年 | 平成17年 | 21年 |
| 2004年 | 平成16年 | 22年 |
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 2003年 | 平成15年 | 23年 |
| 2002年 | 平成14年 | 24年 |
| 2001年 | 平成13年 | 25年 |
| 2000年 | 平成12年 | 26年 |
| 1999年 | 平成11年 | 27年 |
| 1998年 | 平成10年 | 28年 |
| 1997年 | 平成9年 | 29年 |
| 1996年 | 平成8年 | 30年 |
| 1995年 | 平成7年 | 31年 |
| 1994年 | 平成6年 | 32年 |
| 1993年 | 平成5年 | 33年 |
| 1992年 | 平成4年 | 34年 |
| 1991年 | 平成3年 | 35年 |
| 1990年 | 平成2年 | 36年 |
| 1989年 | 平成元年 | 37年 |
【昭和】築年数早見表(2026年基準)
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 1988年 | 昭和63年 | 38年 |
| 1987年 | 昭和62年 | 39年 |
| 1986年 | 昭和61年 | 40年 |
| 1985年 | 昭和60年 | 41年 |
| 1984年 | 昭和59年 | 42年 |
| 1983年 | 昭和58年 | 43年 |
| 1982年 | 昭和57年 | 44年 |
| 1981年 | 昭和56年 | 45年 |
| 1980年 | 昭和55年 | 46年 |
| 1979年 | 昭和54年 | 47年 |
| 1978年 | 昭和53年 | 48年 |
| 1977年 | 昭和52年 | 49年 |
| 1976年 | 昭和51年 | 50年 |
| 1975年 | 昭和50年 | 51年 |
| 1974年 | 昭和49年 | 52年 |
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 1973年 | 昭和48年 | 53年 |
| 1972年 | 昭和47年 | 54年 |
| 1971年 | 昭和46年 | 55年 |
| 1970年 | 昭和45年 | 56年 |
| 1969年 | 昭和44年 | 57年 |
| 1968年 | 昭和43年 | 58年 |
| 1967年 | 昭和42年 | 59年 |
| 1966年 | 昭和41年 | 60年 |
| 1965年 | 昭和40年 | 61年 |
| 1964年 | 昭和39年 | 62年 |
| 1963年 | 昭和38年 | 63年 |
| 1962年 | 昭和37年 | 64年 |
| 1961年 | 昭和36年 | 65年 |
| 1960年 | 昭和35年 | 66年 |
| 1959年 | 昭和34年 | 67年 |
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 1958年 | 昭和33年 | 68年 |
| 1957年 | 昭和32年 | 69年 |
| 1956年 | 昭和31年 | 70年 |
| 1955年 | 昭和30年 | 71年 |
| 1954年 | 昭和29年 | 72年 |
| 1953年 | 昭和28年 | 73年 |
| 1952年 | 昭和27年 | 74年 |
| 1951年 | 昭和26年 | 75年 |
| 1950年 | 昭和25年 | 76年 |
| 1949年 | 昭和24年 | 77年 |
| 1948年 | 昭和23年 | 78年 |
| 1947年 | 昭和22年 | 79年 |
| 1946年 | 昭和21年 | 80年 |
| 1945年 | 昭和20年 | 81年 |
| 1944年 | 昭和19年 | 82年 |
| 西暦 | 和暦 | 築年数 |
|---|---|---|
| 1943年 | 昭和18年 | 83年 |
| 1942年 | 昭和17年 | 84年 |
| 1941年 | 昭和16年 | 85年 |
| 1940年 | 昭和15年 | 86年 |
| 1939年 | 昭和14年 | 87年 |
| 1938年 | 昭和13年 | 88年 |
| 1937年 | 昭和12年 | 89年 |
| 1936年 | 昭和11年 | 90年 |
| 1935年 | 昭和10年 | 91年 |
| 1934年 | 昭和9年 | 92年 |
| 1933年 | 昭和8年 | 93年 |
| 1932年 | 昭和7年 | 94年 |
| 1931年 | 昭和6年 | 95年 |
| 1930年 | 昭和5年 | 96年 |
| 1929年 | 昭和4年 | 97年 |
| 1928年 | 昭和3年 | 98年 |
| 1927年 | 昭和2年 | 99年 |
| 1926年 | 昭和元年 | 100年 |
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詳しくはこちら>>いざ中古物件を購入しようとする際、気になるのは「築何年くらいの物件がおトクなのか」という問題です。ここでは物件の資産価値という観点から、中古物件の買い時をご説明します。
日本のマンションの市場価格は新築時が一番高く、一度でも人が住むと中古物件となってしまい価格が大きく下落します。なぜなら、新築物件の場合広告費用などの初期コストがマンション価格に上乗せされてしまうためにどうしても1~2割ほど割高になってしまうからです。
その後も価格は落ち続け、築20年~築25年を過ぎたあたりから価格の下落が止まり、若干右下がりの横ばい状態になります。したがって、価格の下落率が低くなり価格が横ばい状態になる20年~25年を経過した物件であれば、資産価値が落ちにくくなるため買い時といえるでしょう。
また、資産価値が落ちついた物件であれば、万が一住み替えなどで売却する場合も、買い値と売り値の差がさほど開かないため、「ローン残高が不動産評価額を上回り売ろうにも売れない」という悲劇にはなりにくいです。
次に、資産価値が落ちにくい物件のポイントは立地条件です。「すぐれた立地」は経年劣化しません。「駅近物件」「人気のエリア」はよい立地の定番条件です。「田舎に住んでのんびりしたい」「どうしても古民家に住みたい」という特別な希望がなければ、駅に近くスーパーやコンビニなどの商業施設があり、便利で人気のあるエリアの物件を購入することをおすすめします。
最後のポイントは建物自体です。マンションの資産価値を維持するためには、定期的なメンテナンスや、住宅の状態に応じたリフォームやリノベーションが欠かせません。したがって、①マンションの建物自体の構造がしっかりしているか、②マンションのコンディション・管理体制がよいかは、購入後に変更できないだけに注意すべきポイントです。
「マンションは管理を買え」といわれることがあるほど、中古マンションを購入するときに、管理状態は重要なポイントです。マンションは管理状態によって、建物の寿命や資産価値が左右されることが理由として挙げられます。
大規模修繕工事が適切なタイミングで実施されていないと、建物の老朽化が進むことになります。マンションを適切に維持するためには、長期修繕計画にもとづいて大規模修繕工事を12年程度の周期で定期的に行うことが必要です。外壁のタイルの補修やシーリングの打ち直し、外壁や鉄部の塗装工事、屋上やバルコニー、外廊下の防水工事などを実施することで、建物の機能を保つことができます。
また、管理費や修繕積立金を滞納する所有者が多い物件は、マンションの管理や今後の大規模修繕工事に支障をきたす恐れがあるため、注意が必要です。
それから共用部分の状況からは、管理組合の運営の質や住民のモラルが見てとれます。共用部分の清掃が行き届いているか、集合ポストの付近にチラシなどが散らかっていないか、駐輪場で自転車は整然と並んでいるかといった点もチェックするべきポイントです。

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詳しくはこちら>>実際に中古物件の売買では、どのようにして価格が決まっていくのでしょうか。中古物件の価格の決まり方を解説したうえで、査定方法を紹介していきます。
新築マンションや新築分譲戸建てなど新築物件の販売価格は、原価積み上げ式と呼ばれる方法で決定します。土地の購入費用や建物の建築費用、広告などの販促費用などに売主の利益を加えて、販売価格が決定する方法です。新築マンションの場合、階数や方角によって個々の部屋の価格が調整されます。
一方、中古物件の場合は、建物は築年数の経過によって経年劣化し、土地の価格も新築時とは市場相場が異なっていることが考えられ、適正価格の判断が難しいものがあります。売主はできるだけ高い価格で売りたいと考えるものですが、売主のいい値で決めた価格では市場相場からかけ離れてしまいがちです。市場相場よりも高ければなかなか売れにくく、市場相場よりも安ければ、結果的に売主が損をすることになります。実際のところでは、中古物件の販売価格は不動産会社の査定価格をもとに、売主が決めます。また、最終的な売却価格は、買主と売主の交渉によって決定します。
原価法とは、中古物件の建物部分の価値を評価する方法のひとつです。「今、同じ建物を新築したらいくらかかるか(再調達価格)」を基準に、築年数の経過による価値の減少分を差し引いて査定価格を算出します。
●原価法の基本的な考え方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 評価対象 | 建物部分のみ(※土地は別評価) |
| 基準 | 再調達価格 |
| 減価要素 | 築年数・構造・法定耐用年数 |
| 特徴 | 建物の構造・規模を定量的に評価しやすい |
再調達価格には、材料費だけでなく、人件費・設計費・施工費など、現在の建築コスト水準が反映されます。そのため、建築費が高騰している近年では、再調達価格の水準も以前より高くなる傾向があります。
●原価法による査定価格の計算式
[建物の査定価格]=[再調達価格(㎡単価)]×[延床面積(㎡)]×[残存耐用年数]÷[法定耐用年数]
ここで使われる「法定耐用年数」は、税法上の減価償却年数であり、実際の建物の寿命とは異なります。
●住宅用建物のおもな法定耐用年数
| 構造 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造 | 22年 |
| 軽量鉄骨造(鋼材の厚み3mm以下)※ | 19年 |
| 軽量鉄骨造(鋼材の厚み3mm超)※ | 27年 |
| 重量鉄骨造(鋼材の厚み4mm超)※ | 34年 |
| RC造・SRC造 | 47年 |
※一般的には鉄骨造のうち、鋼材の厚み6mm未満のものを軽量鉄骨造、6mm以上のものを重量鉄骨造と呼ぶ。
出典:確定申告書作成コーナー|耐用年数(建物/建物附属設備)│国税庁
●再調達価格の目安
| 構造 | 再調達価格の目安 |
|---|---|
| 木造 | 約15〜20万円/㎡ |
| 軽量鉄骨造 | 約15〜20万円/㎡ |
| 重量鉄骨造 | 約18〜25万円/㎡ |
| RC造 | 約20〜30万円/㎡ |
※地域・仕様・金融機関により差があります。
<原価法による建物の査定価格の計算例>
●木造住宅(築10年)
再調達価格18万円/㎡、延床面積100㎡
→18万円×100㎡×12年÷22年 ≒ 982万円
●木造住宅(築23年)
法定耐用年数を超過しているため、建物評価は0円
●RC造住宅(築23年)
再調達価格25万円/㎡、延床面積100㎡
→25万円×100㎡×24年÷47年 ≒ 約1,277万円
原価法は計算が明確で分かりやすい一方、立地や市場人気を反映しにくいという弱点があります。そのため実際には、原価法だけで価格を決めるのではなく、取引事例比較法などと組み合わせて総合的に判断されます。
取引事例比較法は、中古物件の査定で用いられることが多い評価方法です。多用な取引事例の中から、査定の対象となる物件と条件が近い取引事例を収集。事例ごとに事情補正や時点修正を行った後、地域的要因や個別的要因を考慮して比較を行って、査定価格を算出します。
事情補正とは売却価格に影響を与える特別な事情がある場合に価格を補正することをいいます。例えば、売主に借金がある、引越しの予定があるといった事情で売却を急いでいるケースでは、一般的な取引よりも価格が低くなっていることが想定されるため、補正を行います。時点修正とは、取引事例の発生した時点と査定を行う時点で、不動産市場の価格水準に補正することです。
取引事例比較法は近隣地域や、対象物件と代替関係や競争関係にある地域を指す同一需給圏内の類似地域で、対象物件に似た物件の取引事例がある場合に有効です。ただし、不動産鑑定士による感覚的な部分が査定価格に影響する点に留意する必要があります。
収益還元法とは、対象物件が将来生みだす収益をもとに査定価格を算出する方法です。収益還元法は主に、賃貸用物件など事業用不動産の査定価格を算出する際に用いられています。収益還元法には直接還元法とDCF法という種類があります。
直接還元法は、家賃収入から必要経費を引いた純利益を還元利回りで割って査定価格を算出する方法です。還元利回りはキャップレートとも呼ばれ、類似する不動産の取引事例などをもとにした収益の想定による利回りを用います。例えば、類似する物件の利回りが5%であった場合、対象物件の方が最寄り駅から近ければ、利回りを高めに調整します。直接還元法では、還元利回りの設定が大きく査定価格を左右します。
直接還元法による査定価格は以下の計算式で求められます。
査定価格=1年間の純収益÷還元利回り
<直接還元法による査定価格の計算例>
事例:1年間の収益300万円、経費30万円、還元利回り5%
(300万円-30万円)÷5%=5,400万円
5,400万円よりも安く購入できる場合は、収益を上げられると判断できます。
DCF法の「DCF」とは、ディスカウントキャッシュフローの略で、不動産投資の上級者向けの計算方法です。DCF法とは、不動産を所有している間に運用して得られる収益や売却価格を、現在の価値に割り引いて算出する査定方法をいいます。中古物件の資産価値は、通常、経年劣化によって下がるため、例えば1年目よりも5年目に売却した方が価値が下がることを考慮したものです。
DCF法による査定価格を算出する計算式は、以下のようなイメージになります。
毎年得られる純収益の現在価値の合計+将来の売却価格の現在価値
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詳しくはこちら>>もちろん、中古物件(一戸建て・マンション)でも住宅ローンを借りることはできます。例えば、メガバンクの三井住友銀行とみずほ銀行は、新築物件でも中古物件でも申込み可能で、返済期間も新築物件と同様に1年~35年です。ただし、金融機関によっては中古物件の場合、「50年-築年数」以内というように35年より短い返済期間を上限に設定している場合もあります。また、そのために毎月の返済額が増えてしまう可能性はあります。
基本的には中古物件だからといって住宅ローンの申込みを受け付けてもらえないということはありません。しかし、中古物件は担保の評価額が新築物件と比べて低いために借入可能額がどうしても低くなり、「審査に通らなかった」「希望額から減額された」「リフォーム費用までは借りられなかった」という可能性があります。
そういった場合に中古物件で住宅ローンを利用するときは、頭金をしっかり用意することをおすすめします。また、審査に不安があって夫婦共働きの家庭の場合は、配偶者を連帯債務者や連帯保証人にして収入を合算する、夫婦向け「ペアローン」を利用するといった方法も検討してみましょう。
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詳しくはこちら>>中古住宅であっても、一定の条件を満たせば住宅ローン減税を受けることができます。ただし、制度の内容は数年ごとに見直されており、築年数に関する考え方は大きく変わっています。
●住宅ローン減税の概要(2026年1月時点)
住宅ローン減税とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税(控除しきれない分は住民税の一部)から控除できる制度です。中古住宅の場合、住宅の性能に応じて10〜13年にわたって家計負担を軽減できます。
おもな要件
・取得後6か月以内に入居し、各年の12月31日まで居住している
・床面積が原則50㎡以上(※一定条件下で緩和あり)
・住宅ローンの返済期間が10年以上
・控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下
●中古住宅で特に重要なポイント
現在の住宅ローン減税では、「築年数」そのものは要件ではありませんが、次のいずれかを満たしていることが求められます。
・1982年以降に建築されている
・耐震基準適合証明書・住宅性能評価書などで耐震性が確認できる
物件の売り手が耐震基準に関する証明書類を用意していない場合は、建築士や登録住宅性能評価機関などに耐震診断と書類の作成を依頼しなくてはならないため、手数料と手間がかかります。
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詳しくはこちら>>中古マンション選びで、正解はひとつではありません。価格を抑えたいのか、将来の資産価値を重視したいのか、あるいは立地条件を最優先したいのかによって、選ぶべき築年数や物件条件は変わります。ここでは、中古マンションに多いニーズを「堅実重視」「価格重視」「立地条件重視」の3つに分け、それぞれに合った考え方を整理します。
購入後の安心感や資産価値を重視し、バランスよく中古マンションを選びたい方には、築15〜20年前後が目安になります。
2000年以降に建てられたマンションでは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の施行により、住宅性能表示制度の整備や新築住宅の瑕疵担保責任の明確化が進み、一定の品質水準が担保されるようになりました。また、2003年の建築基準法改正により、24時間換気設備の設置が義務化され、室内環境への配慮も強化されています。
さらに、2000年代以降のマンションでは、防犯カメラやオートロックといったセキュリティ設備が標準化し、床スラブ厚の確保による遮音性の向上など、建物の基本性能そのものが底上げされています。これらの共用部分の性能は、購入後に個人で改善することが難しいため、築年数選びの重要な判断材料となります。
価格の面では、築15〜20年程度のマンションは、建物評価がある程度進んでいる一方で、市場での需要が安定しており、価格の下落が緩やかになるタイミングに差しかかっているケースが多く見られます。新築や築浅と比べると購入価格を抑えやすく、将来的な値下がりリスクも比較的小さいです。また、住宅ローン減税についても、この年代のマンション新耐震基準で建てられているため問題なく制度を利用できます。
ただし注意したいのが大規模修繕の状況です。築15〜20年のマンションは、1回目または2回目の大規模修繕工事の時期にあたることが多く、修繕履歴や長期修繕計画、修繕積立金の積立状況は必ず確認しておきたいポイントです。積立金が不足している場合、将来的な負担増につながる可能性もあるため、管理状態とあわせて慎重に見極めましょう。
購入価格をできるだけ抑えたい方にとって狙い目となるのが、築20〜30年前後の中古マンションです。この年代の物件は、新築や築浅と比べて価格が大きく下がっており、築年数の経過による値下がりが緩やかになるゾーンに入っているケースが多く見られます。そのため、比較的安く購入できる一方で、購入後の資産価値が大きく目減りしにくい点が特徴です。耐震面についても、築20〜30年前後のマンションは新耐震基準で建てられており、基本的な安全性は確保されています。
一方で、価格重視でこのゾーンを選ぶ場合は、リノベーションを前提に考えることが現実的です。内装や設備は経年劣化が進んでいることが多く、フローリングや壁紙の張り替え、水回り設備や給湯器の交換など、一定規模の改修が必要になる可能性があります。ただしその分、購入価格を抑えたうえで、自分たちのライフスタイルに合わせた間取りやデザインに一新することが可能です。
新築マンションの価格が高騰している現在では、物件価格とリノベーション費用を合算しても、新築より総額を抑えられる可能性が高いです。価格を最優先する場合は、立地条件や管理状態をしっかり見極めつつ、「リノベーション込みでの総予算」で判断することがおすすめです。
将来の資産価値や暮らしやすさを最優先したい方には、立地条件を重視した中古マンション選びが向いています。新築マンションの供給エリアが限られる一方で、中古マンションであればエリアや沿線を幅広く選べます。
立地条件を判断する際の大きなポイントは、交通利便性・生活利便性・住環境・安全性の4つです。まず交通利便性では、都心や主要エリアへのアクセスの良さが重要になります。複数路線が利用できる駅や、急行・快速が停車する駅、駅から徒歩10分以内の物件は、通勤・通学だけでなく将来の売却時にも評価されやすいです。エリアによっては、バス路線の充実度や、車移動を前提とした幹線道路へのアクセス、敷地内駐車場の有無も判断材料になります。
生活利便性の面では、スーパーやドラッグストア、医療機関、金融機関など、日常生活を支える施設が徒歩圏内にそろっているかを確認しましょう。便利と感じる施設は家族構成やライフスタイルによって異なり、子育て世帯であれば公園や学校、共働き世帯や単身者であれば営業時間の長い店舗の有無などが、ポイントになります。
住環境については、街並みの整備状況や周辺の緑、騒音の有無などが住み心地に直結します。古くからの街は周辺環境が成熟しており、落ち着いた住環境が保たれていることが多いです。
もうひとつ重視したいのが安全性です。治安の良さだけでなく、自然災害リスクについても、エリアごとの特性を踏まえて確認しておきましょう。自治体が公開しているハザードマップで浸水・土砂災害などのリスクを確認し、駅から物件までの夜間の明るさや交通量も実際に歩いて確かめておくと安心です。古くから住宅地として利用されてきた土地は、災害リスクが比較的低い傾向にあります。
立地条件の良い中古マンションは価格が下がりにくく、将来的な売却や住み替えの際にも選択肢を広げてくれます。築年数だけにとらわれず、どんな街にあるのかという視点を重視する考え方です。
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詳しくはこちら>>築年数が古い中古マンションを検討する際に、多くの方が感じやすい不安や疑問について、ポイントを絞ってまとめました。
築50年以上のマンションだからといって、必ずしも地震に弱いとは限りません。確かに、1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物は、新耐震基準と比べると想定している地震規模が小さい点は事実です。しかし、実際の安全性は築年数だけで決まるものではありません。耐震診断の実施状況や、これまでに耐震補強工事が行われているか、建物の形状や管理状態などによって、地震への強さは大きく異なります。旧耐震=即危険と決めつけるのではなく、個別の建物ごとに耐震性を確認しましょう。
マンションの耐震補強は安心材料になりますが、補強されていれば必ず安全と言い切れるわけではありません。確認するべきなのは、補強の内容や範囲、実施時期です。例えば、どの部分をどの程度補強しているのか、現行の耐震基準に相当する水準まで性能が引き上げられているのかによって評価は変わります。また、補強工事後の耐震診断結果や、耐震基準適合証明書の有無も重要な判断材料になります。耐震補強済みのマンションであっても、その具体的な内容まで確認することが大切です。
築50年を超えるマンションでも、将来売却できる可能性は十分にあります。ポイントとなるのは、立地条件と管理状態です。駅から近く需要の高いエリアにあるマンションは、築年数が古くても一定のニーズがあります。また、長期修繕計画がしっかりしており、共用部分のメンテナンスが継続的に行われているマンションは、購入検討者からの評価も下がりにくいです。築年数だけで判断せず、「どこにあり、どのように管理されてきたか」を重視することで、将来的な売却も視野に入れた選択が可能になります。
築50年を超えるマンションと聞くと、不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、中古マンション選びで本当に重要なのは築年数ではなく、耐震性・建物の形状・管理状態・立地条件といった、マンションそのもの価値です。適切なメンテナンスが行われ、需要のあるエリアに立地しているマンションであれば、古くても安心して住み続けられ、将来の売却や住み替えも視野に入れることができます。
一方で、耐震性能や住宅ローン控除の利用、修繕計画の良し悪しなどは、物件ごとに判断が分かれる難しいポイントでもあります。情報だけを集めて自己判断するのではなく、中古マンションとリノベーションに詳しい専門家に相談しながら進めることが、後悔しない物件選びへの近道です。
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