老後は賃貸と持ち家どっちがいい?メリットやリスク、注意点を徹底比較

■結論|老後は“収入・健康・資産状況”で最適な選択が変わります

老後の住まいは、賃貸と持ち家のどちらが絶対に正解と言えるものではありません。収入や資産、健康状態、家族構成によって、適した選択は人それぞれ異なります。

賃貸は身軽に住み替えができる一方で、高齢になると借りにくくなる可能性があります。持ち家は住居費の見通しを立てやすい反面、修繕や維持管理といった負担がかかります。

どちらにもメリットデメリットがあるため、「どちらが得か」ではなく、将来にわたって無理なく住み続けられるかという視点が大切です。ご自身の状況に合わせて、安心して暮らせる住まいを考えていきましょう。

こんな方におすすめの記事です
  • 賃貸暮らしに不安を感じている方
  • 定年後に持ち家を購入するか迷っている方
  • 定年後の住居費やローンについて詳しく知りたい方

CONTENTS

■老後の住まい選びが重要な理由

老後の住まい選びは、現役時代以上に慎重に考えておきたいテーマです。これは、年齢とともに収入や健康状態、住み替えのしやすさといった条件が変化するためです。

まず、収入面では、退職後は年金を中心とした生活に移行する方が多く、再雇用や働き方によって個人差はあるものの、現役時代に比べて収入が変化するケースが一般的です。そのため、家賃や住宅ローン、維持費といった住居費の負担が、家計に与える影響はより大きくなります。

また、年齢を重ねるにつれて健康面の変化も見逃せません。階段の上り下りが負担になったり、通院のしやすさが重要になったりと、住まいに求める条件は変わっていきます。

さらに、住み替えの難しさも老後特有の課題です。賃貸の場合は年齢とともに入居審査のハードルが上がることがあり、希望する物件に住めないケースもあります。一方、持ち家は売却や住み替えに時間や手間がかかるため、柔軟な対応が難しくなることもあります。

このように、老後はさまざまな条件の変化が重なり、住まいの選択がその後の暮らしやすさに大きく影響します。だからこそ、将来の変化を見据えながら「無理なく住み続けられるか」という視点で住まいを考えておくことが大切です。

■老後の持ち家・賃貸の割合

老後の住まいの実態を見ると、持ち家に住んでいる人が大多数を占めています。内閣府の調査*1では、65歳以上の約8割以上が持ち家に居住しており、賃貸住宅は少数派となっています。

では、実際にどのような住まいにどれくらいの割合で住んでいるのか、具体的な内訳を見ていきましょう。

*1)内閣府/「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査」

・高齢者の持ち家率

内閣府の調査*1によると、高齢者の住まいは「持家(一戸建て)」が76.2%と最も多く、「持家(マンションなど)」を含めると全体の8割以上が持ち家となっています。一方で、賃貸住宅は民間・公営を合わせても2割に満たない水準です。
この結果から、老後は持ち家で暮らす人が多数派であることがわかります。ただし、持ち家が多いからといって必ずしも最適とは限らず、状況に応じた判断が求められます。

住居形態割合
持家(一戸建て)76.2%
持家(分譲マンション等)8.3%
賃貸(民営のアパート・マンション)5.9%
賃貸(公営・公社・UR等の集合住宅)4.5%
賃貸(一戸建て)2.4%

*1)内閣府/「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査」(令和5年度)

・都市・地方での違い

高齢者の住まいは、都市規模によっても傾向に違いが見られます。同調査では、大都市(東京23区・政令指定都市)では持ち家の割合が約76%程度にとどまる一方、小都市(人口10万未満の市)では約88%、町村では約90%と、都市規模が小さくなるほど持ち家率が高くなる傾向が確認されています。
こうした違いから、都市部では賃貸を含めた多様な住まい方が見られるのに対し、地方では持ち家で暮らし続けるケースが多いといえます。

・老後に家を買って住み替えをする人も多い

最近は若い頃に持ち家を購入したとしても、一生住み続けるとは限らないようです。若い頃にはファミリー向けの広い住宅を購入し、老後にその家を売却して新しく手頃なサイズの家を購入しなおすという方も多くみられます。

国土交通省の調査*2によると、住宅を初めて購入する「一次所得者」で最も多いのは30代です。しかし、住宅を購入するのが2回目以上の「二次取得者」になると、最も多いのは60代。新築の注文住宅や分譲マンションで約5割、中古戸建て・マンションでは約4割を60歳代が占めています。つまり、老後に住宅を購入するというケースは、特段珍しくないということです。

*2)国土交通省/平性29年度 住宅市場動向調査
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000129.html

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■老後の賃貸のメリット・デメリット

老後の住まいとして賃貸住宅を選ぶ場合は、収入や健康状態、家族構成の変化を踏まえて考える必要があります。こうした変化に伴い、住まいに求める条件も少しずつ変わっていきます。

賃貸住宅は、ライフスタイルに合わせて住み替えがしやすく、維持管理の負担が少ない点が大きなメリットです。一方で、家賃を支払い続ける必要があることや、年齢によっては入居のハードルが上がる可能性がある点には注意が必要です。

次の項目では、老後の住宅に賃貸を選んだ際のメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。

・老後賃貸のメリット

老後に賃貸住宅を選ぶメリットは、生活の変化に対応しやすく、住まいの維持管理の負担を抑えられる点にあります。体調や収入、家族構成の変化に応じて暮らしを見直す必要がある中で、柔軟に対応できることは安心につながります。

具体的には、以下のような点が挙げられます。

・ライフスタイルの変化によって身軽に引っ越せる
・メンテナンスを管理会社がしてくれる
・固定資産税がかからない

以下で、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

・ライフスタイルの変化によって身軽に引っ越せる

賃貸住宅なら、収入や家族構成の変化などによって身軽に引っ越せます。例えば、「夫婦で暮らしていたが、子と同居することになった」「年金生活になって収入が下がった」などの事情にも対応しやすいです。

・メンテナンスを管理会社がしてくれる

賃貸住宅は、大家や管理会社が部屋の設備や内装、共用部分について修繕・交換などをしてくれます。老後に家の管理をしたくないという方には、賃貸住宅が向いているかもしれません。

・固定資産税がかからない

固定資産税とは、土地や建物を所有していると毎年かかる税金です。賃貸住宅ならもちろん固定資産税はかかりません。

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・老後賃貸のデメリット

老後に賃貸住宅を選ぶ場合は、「住み続けられるか」という視点でデメリットを整理しておくことが大切です。長く住み続けるつもりであっても、建物の老朽化や建て替え、災害、家賃の変動などにより、想定外の住み替えが必要になることもあります。

特に意識しておきたいのが、年齢とともに賃貸住宅を借りにくくなる可能性がある点です。高齢になると健康面への不安や保証人の確保が難しくなることなどから、入居審査のハードルが上がり、希望する物件に住めないケースも考えられます。

具体的には、以下のような点が挙げられます。

・家賃を支払い続けなければならない
・引っ越し代、敷金がかかる
・賃貸住宅を借りにくくなるリスク

以下で、それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。

・家賃を支払い続けなければならない

日本の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳。「人生100年」とも言われており、自分の老後の生活が20年になるか、30年、40年になるかは、予測が立ちません。定年までにお金を貯めるとしても、2,000万円必要なのか3,000万円必要なのかわからない不安がどうしてもつきまとうのが「一生賃貸派」の最大のデメリットです。

・引っ越し代、敷金がかかる

身軽に引っ越せるのが賃貸派のメリットですが、引っ越しを繰り返すならその都度引っ越し代や敷金などのお金がかかります。夫婦2人の引っ越し代が5~10万円、敷金・礼金・仲介手数料としてそれぞれ家賃の1ヶ月分かかるとすると、1度の引っ越しで30万円くらいは必要ということになります。

・賃貸住宅を借りにくくなるリスク

賃貸派の老後におけるリスクとして、高齢になると賃貸住宅を借りにくくなるという点も挙げられます。特に独居の場合、大家さんが孤独死や認知症などを心配して、入居を断られるケースも存在します。

60歳の時点では問題ないとは思いますが、80歳、90歳と年をとるごとに賃貸住宅は借りにくくなっていくことを頭に入れておきましょう。

ずっと同じ物件に住むから大丈夫と思う方もいるかもしれません。しかし、建て替えや老朽化、被災による立ち退きや家賃の値上げなどで、想定外の住み替えが必要となるケースもあります。

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■老後の持ち家のメリット・デメリット

老後の住まいとして持ち家を選ぶ場合は、「無理なく住み続けられるか」という視点でメリット・デメリットを整理しておくことが大切です。

持ち家は住居費の見通しを立てやすく、資産としての価値がある一方で、維持管理の負担や住み替えのしにくさといった側面もあります。

ここでは、こうした特徴を踏まえながら、老後特有の視点で持ち家のメリットとデメリットを整理していきます。

・老後持ち家のメリット

持ち家のメリットは、老後の住居費を見通しやすくできる点にあります。収入が変化しやすい老後において、住居費が大きく変動しにくいことは安心感につながります。

また、持ち家は資産として保有できるため、売却や活用といった選択肢を持てる点も特徴です。賃貸とは異なり、住まいそのものを資産として扱える点は、大きな違いといえるでしょう。

具体的には、次の3つが挙げられます。

・ローン完済すれば住宅費が抑えられる
・持ち家には資産価値がある
・リフォームやリノベーションが自由

・ローン完済すれば住宅費が抑えられる

持ち家の第一のメリットは、老後の住宅費が抑えられるということでしょう。戸建てなら住宅費として継続してかかるのは、固定資産税や家の修繕費用で月2~3万ほど、マンションならそれに加えて管理費や共有部分の修繕積立金がかかりますが、それでも合計で月4~5万ほどが相場です 。住宅ローンを利用する場合も、賃貸の家賃のようにずっと支払いが続くわけではないので、老後までに貯めておくべき貯蓄額が計算しやすいです。

・持ち家には資産価値がある

ローン完済すれば資産になるというのも大きなメリットです。家賃とローン返済額が同額だったとしても、賃貸住宅ではいくら払っても資産にはなりません。金融機関から融資を受けるときの担保にもなりますし、もし住み替えが必要となっても売却や賃貸などで収入を得ることができます。

・リフォームやリノベーションが自由

賃貸は原則的にリフォームできないのに対し、持ち家ならリフォームやリノベーションも自由です。例えば介護、親や子との同居、年をとって足腰が弱くなるなど、事情に合わせて家に手を入れることで快適に暮らせます。賃貸物件だと車椅子や介護が必要となって別の物件に引っ越さなければならないこともありますが、持ち家ならリフォームをうまく活用して同じ家に住み続けやすいです。

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・老後持ち家のデメリット

持ち家は住み続けやすい一方で、維持していくための負担がかかる点には注意が必要です。特に老後は収入が変化することもあるため、修繕費や税金といった支出が家計に影響しやすくなります。

また、資産として保有していても、必要なタイミングですぐに現金化できるとは限らず、思うように活用できないことも。売却や住み替えには時間や手間がかかるため、柔軟に動きにくい点も押さえておきたいポイントです。

具体的には、次の3つが挙げられます。

・ライフスタイルの変化に対応しづらい
・住宅ローンの負担
・手放す時に手間がかかる

・ライフスタイルの変化に対応しづらい

小さな変化に対してはリフォームやリノベーションで対応できますが、「もっと広い家に住みたい」「別のエリアに住みたい」など住み替えが必要な事情には、賃貸住宅ほど気軽に対応しにくいです。ただし、持ち家を売却して住み替えをおこなえば、売却資金を次の住宅の購入資金に回すことも可能です。

・住宅ローンの負担

やはり持ち家は、住宅ローンの返済が負担になるという方も。無理なローンを組むと収入が下がったときに困るので、新築ではなく価格を抑えた中古マンション+リフォーム・リノベーションにするというと手もあります。また、定年後や子供の独立後に、手軽な広さ・価格の中古住宅を、これまでに貯めた貯金で一括購入するという方も増えています。

・手放す時に手間がかかる

住み替えで持ち家を売却・賃貸に出す場合、やはり大きな手間や負担がかかります。売り手や貸し手がつくのか、どのくらいの金額で売却できるかなど不安もつきまとうものです。これから持ち家を購入されるなら、将来的な住み替えのことも考えて、資産価値の下がりにくい物件を選ぶことが大切です。

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■老後に最も重要なリスクは「住めなくなること」

老後の住まいを考えるうえで大切なのは、将来にわたって安心して住み続けられるかという視点です。賃貸・持ち家のどちらにもメリットがありますが、それぞれに「住み続けられなくなる可能性がある」という点には注意しておきましょう。

たとえば賃貸では、家賃の変動や契約更新の条件によって、同じ住まいに住み続けることが難しくなる場合があります。また、年齢とともに入居条件が変わることで、やむを得ず住まいを変えざるを得ないケースも考えられます。

一方で持ち家は、建物の老朽化や設備の劣化が進むと、適切なメンテナンスを行わなければならず、怠ると安全性や快適性が損なわれ、住み続けることが難しくなることもあります。

ここからは、それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。

・賃貸の入居制限リスク

高齢になると、賃貸住宅の入居審査が厳しくなる傾向があります。審査の状況によっては、同じ住まいに住み続けることが難しくなる可能性もあるため注意が必要です。

例えば、収入が年金中心になることや将来の収入見通しなどから、確認事項が増えるケースも見られます。

また、見守り体制の有無が重視されることもあり、物件によっては条件が設けられている場合も。さらに、連帯保証人の確保や保証会社の利用が必要になるなど、手続き面での負担が増えることもあります。

・持ち家の老朽化リスク

持ち家は長く住み続けるほど、建物や設備の老朽化が進みます。外壁・屋根・水回りなどは劣化が避けられず、適切な修繕が行われない場合は、安全性や快適性に影響が出て、住み続けることが難しくなる可能性があります。

また、老後は収入が限られる中で修繕費の負担が大きくなることもあり、必要なタイミングで十分な対応ができないケースも。さらに、年齢を重ねると大掛かりな修繕やリフォーム自体が負担になることもあります。

■老後の住まいにかかる費用比較

老後の住まいを検討するうえでは、長期的にかかる住居費の違いを把握しておくことが重要です。賃貸と持ち家では、費用のかかり方に違いがあります。

賃貸は毎月の家賃を支払い続ける必要があり、居住期間が長くなるほど総額が大きくなる傾向があります。一方、持ち家は住宅ローン完済後、修繕費や税金などの維持費が継続的に発生します。

また、将来的にサービス付き高齢者向け住宅などへ住み替える場合は、入居費用や月額費用が新たにかかる可能性もあります。こうした点も含めて、住まいにかかる費用は長期的な視点で捉えておくことが大切です。

ここでは、賃貸と持ち家それぞれの費用の特徴を整理したうえで、具体的な金額の目安を見ていきましょう。

・賃貸の生涯コスト

賃貸住宅は毎月の家賃が発生し続けるため、居住期間が長くなるほど総額が大きくなる点が特徴です。老後は20年、30年と長く続くことも多く、家賃の支払いが長期にわたることを前提に考えておく必要があります。

また、家賃に加えて火災保険料や更新料がかかる場合があり、住み替え時には引っ越し費用や敷金・礼金、仲介手数料なども発生します。こうした費用も含め、総額で考えることがポイントです。

・一般的な賃貸住宅の家賃相場

老後、夫婦2人で暮らすとすると、ファミリー向け物件ではなく、2DKや2LDKなど居室が2部屋くらいある物件を選ぶ方が多いのではないでしょうか。

全国賃貸管理ビジネス協会のデータ*3によると、2部屋(2DK・2LDK等)の賃貸住宅の家賃は、全国平均で約5万8千円、東京では約8万5千円となっています。
家賃が6万円/月とすると、年間72万円が住居費としてかかることになります。60歳~80歳までの20年で1,440万円、60~90歳までの30年で2,160万円です。
家賃が8万円/月なら、年間96万円。20年で1,920万円、30年で2,880万円が必要となります。

*3)全国賃貸管理ビジネス協会/全国家賃動向(2019年7月)
https://www.pbn.jp/yachin/date/2019/07/

・持ち家の維持費

持ち家はローン完済後の住居費を抑えやすい一方で、維持費がかかり続けます。戸建て・マンションともに固定資産税などの税金が発生し、建物や設備の修繕費も長期的に必要となります。

特にマンションでは、これに加えて管理費や修繕積立金が毎月かかり、築年数の経過に応じて増額されるケースも見られます。こうした費用は時期によって支出の負担が大きくなることもあり、計画的な備えが求められます。

・サービス付き高齢者向け住宅の家賃相場

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、バリアフリーに対応している高齢者向けの賃貸住宅です。介護が必要な高齢者が多い「老人ホーム」とは異なり、サ高住は介護が必要ない自立した60歳以上の方が入居する物件が主流です。その場合、一般の賃貸物件と同じように「賃貸借契約」となっており、住み始めるときに「敷金」などの形で、数十万円程度の初期費用が必要となります。

サ高住の月額費用は、10~30万円/月程度が目安です。一般的な住宅よりやや高額な設定となっています。月額10万円の場合、年間の住居費は120万円。60~80歳まで20年住むなら、2,400万円かかることになります。

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■持ち家の価格相場・ランニングコスト

では、持ち家の場合は、老後の住居費にどのくらいのお金がかかるのでしょうか。老後や定年退職を機に中古マンションを購入するというケースでかかる費用を計算してみましょう。

・持ち家の価格相場

持ち家の価格は、エリア・築年数・間取りなどによって異なります。「平性29年度 住宅市場動向調査」によると、住宅購入資金の全国平均は以下のとおりです。

持ち家の平均購入資金

参照:国土交通省/平性29年度 住宅市場動向調査
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000129.html

中古マンションであれば、平均で2千万円台。老後に購入する1LDKなどの間取りなら、1千万円台から探すこともできます。リフォーム資金は平均で231万円です。

・持ち家のランニングコスト

こちらも中古マンションを購入したと仮定して、月々かかるコストを計算してみます。

参考:国土交通省/平成30年度マンション総合調査
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html

・賃貸との比較

老後に1,000万円(諸費用込み)の中古マンションを購入して、200万円のリフォームを実施し、合計金額1,200万円を現金で支払い、60~90歳まで、ランニングコスト4万7千円/月で住むとすると、30年間で2892万円かかります。

家賃8万円の賃貸住宅なら30年で2,880万なので、この時点でちょうど費用が同じくらいということになりますね。ただし、同じ金額を支払っていても、持ち家は自分の所有する資産となり、賃貸住宅だといくら家賃を支払い続けても資産にはなりません。

ここではマンションについて試算しましたが、戸建てなら管理費や修繕積立費がかからないため、ランニングコストは月々2~3万円程度に抑えられるでしょう。

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■【ケース別】老後は賃貸と持ち家どちらが向いている?

老後の住まいは、個人の状況に応じて適した選択が異なります。「どちらが自分の生活に合っているか」という視点が重要です。

例えば、「年金を中心に生活するため毎月の支出を抑えたい方」と、「資産に余裕があり住み替えも視野に入れたい方」では、住まいの考え方は大きく変わります。また、「将来の変化に合わせて身軽に暮らしたい方」であれば、柔軟に住み替えできるかどうかも一つの判断材料になるでしょう。

このように前提条件によって選び方は異なるため、自分の状況に当てはめて考えることが大切です。住まいに求める優先順位を明確にしておくと、判断もしやすくなります。

ここからは、代表的なケースごとに住まいの考え方を見ていきましょう。

・年金中心の方

収入が年金中心となる場合は、毎月の住居費をできるだけ抑えやすい住まいを選ぶことが大切です。その点で、無理のない資金計画で持ち家を取得している場合は、持ち家が向いています。

賃貸のように家賃を払い続ける必要がないため、毎月の支出を見通しやすく、生活設計を立てやすい傾向があります。一方で、修繕やリフォームに備えた資金は必要になるため、将来を見据えて準備しておくことも考えておきたいポイントです。

・資産に余裕がある方

十分な貯蓄や資産がある場合は、持ち家・賃貸のどちらも選択肢となります。住まいにかけられる費用に余裕があるため、状況に応じて住まいを選びやすくなります。

例えば、持ち家であればリフォームや住み替えにかかる費用にも対応しやすく、住まいを維持・調整しながら暮らせます。一方、賃貸でも家賃負担や初期費用に対応できるため、選択肢を広く持ちやすいといえるでしょう。
費用面の制約を受けにくく、自分の暮らし方に合わせて住まいを選びやすいケースです。

・身軽に暮らしたい方

将来の変化に合わせて柔軟に暮らしたい方には、賃貸住宅が向いています。住む場所や広さをその時の状況に応じて見直しやすく、暮らし方に合わせて住まいを変えられる点が大きな特徴です。

家族構成や健康状態の変化に応じて住み替えやすく、持ち家のように売却や管理の手間に縛られにくいのもメリットの一つ。身軽さを重視したい方にとって、選びやすい住まいといえるでしょう。

■老後の住まい選びのポイント

老後の住まいは、現在の暮らしやすさだけでなく、将来の変化を見据えて選ぶことが求められます。収入や健康状態の変化に加え、移動手段や家族との距離、生活環境の変化なども考慮しておきたいポイントです。

特に「どこで暮らすか」「どのような住まいにするか」は、その後の生活のしやすさを左右します。医療機関や買い物環境、交通アクセスといった立地条件に加え、バリアフリーや管理のしやすさといった住まいの条件もあわせて確認しておきましょう。将来の暮らしを具体的にイメージしながら検討していくことが重要です。

ここでは、こうした視点を踏まえながら、老後の住まい選びで押さえておきたいポイントを整理していきます。

・立地(医療・交通)

日常生活を無理なく続けられる立地かどうかは、住まい選びの軸として考えておきたいポイントです。年齢を重ねると車の運転が難しくなることもあるため、公共交通機関や徒歩で生活できる環境を選んでおくと安心につながります。

また、通院や日々の買い物を続けられるよう、医療機関や生活施設が身近にあるかどうかも確認しておきたい点です。さらに、子どもや親族との距離も意識しておけば、いざというときに支え合いやすくなります。

・住宅の種類(マンションか戸建てか、新築か中古など)

老後の住まいを考える際は、住宅の種類ごとの特徴を理解しておきましょう。「戸建てかマンションか」「新築か中古か」「賃貸か持ち家か」といった選択によって、暮らしやすさや負担の内容は大きく変わります。

例えば、管理やメンテナンスの負担を抑えたいのか、それとも自由に手を加えながら住み続けたいのかによって、戸建てとマンションの向き不向きは異なります。また、初期費用や物件の選択肢を重視する場合は、新築か中古かという視点も欠かせません。

このように、住宅ごとの特徴を踏まえて、自分の暮らし方に合った住宅の種類を選ぶことが、将来を見据えた住まい選びにつながります。

ここからは、住宅の種類ごとに比較してみましょう。

・賃貸と持ち家どちらにするか

まずは賃貸にするのか、持ち家にするのか選ばなければなりません。ここまで見てきたとおり、賃貸であれば一生にわたって家賃がかかり続けます。逆に住宅を購入すれば、固定資産税や修繕費などの維持費がかかります。それぞれのメリット・デメリットをよく検討して、ご自身の理想とするライフスタイルにフィットする暮らし方を選びましょう。

・戸建てにするかマンションにするか

老後の住まい選びでは、戸建てかマンションかというのも重要なポイントです。戸建てであれば修繕積立金・管理費・駐車場といった毎月のコストがかかりません。ただしバリアフリーの面ではマンションのほうが有利。セキュリティ面を含めて、年をとってからも安心して暮らせるでしょう。またマンションは管理費さえ支払っておけば、戸建てのようにお庭のお掃除やメンテナンスもする必要がありません。

・新築と中古どちらにするか

住宅を購入される場合、新築と中古という2つの選択肢についてもよく検討しましょう。新築物件はキレイで満足感もありますが、値段は割高。中古物件のほうがエリア内で見つかる可能性が高く、値段も安定しています。中古物件を購入してリノベーションすれば、まるで新築のように好みの間取りや内装に整えられますよ。

・バリアフリー

老後の住まいでは、将来の身体の変化を見据えて、バリアフリーに配慮した住まいを考えておくと安心です。段差の少ない間取りや手すりの設置、通路の広さ、設備の使いやすさなどは、日常生活の負担を軽減し、安全に暮らすためのポイントになります。
現時点では不便を感じていなくても、将来的に必要となる可能性があるということを意識しておきましょう。室内だけでなく、玄関や敷地までの動線など、自分では対応しにくい部分も含めて確認しておくと安心です。

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■老後に住宅ローンを組む場合の注意点

老後に住宅ローンを組む場合は、無理のない返済計画を前提に慎重に検討する必要があります。若い世代と比べて返済期間が限られやすく、収入や健康状態によっては借入条件に影響が出ることもあります。

また、退職後は収入の見通しが変化することもあるため、生活費とのバランスを踏まえた計画が欠かせません。近年は高齢者向けのローン商品も増えており、選択肢の幅も広がっています。

ここでは、老後に住宅ローンを検討する際に押さえておきたいポイントを3つに整理しました。

・借入可能年齢と返済期間の上限
・退職金と老後資金のバランス
・高齢者向けローンの活用

こうした点を踏まえながら、無理のない計画を検討していきましょう。

・注意点①借入可能年齢と返済期間の上限

住宅ローンは金融機関ごとに条件が異なりますが、完済時年齢は80歳前後に設定されているのが一般的です。例えば、60歳で借り入れ、80歳で完済とする場合、返済期間は20年程度が目安となります。

借入時の年齢が高くなるほど返済期間は短くなり、毎月の返済額は増える傾向があります。年齢や健康状態によっては条件が厳しくなることもあるため、住宅ローンは早めに検討しておくほど選択肢を広げやすくなります。

・注意点②退職金と老後資金のバランス

退職金を住宅購入やローン返済に充てるケースは多いものの、全額を使ってしまうと老後の生活資金が不足するリスクがあります。老後は医療費や介護費用など予測しにくい支出も増えるため、一定の余裕資金は残しておきたいところです。

住宅費と生活費のバランスを考え、年金収入や再雇用による収入も含めて、無理のない資金計画を意識しておくことが大切です。

・注意点③高齢者向けローンの活用

年齢による制約がある場合でも、高齢者向けローンを利用できるケースがあります。ただし、一般的な住宅ローンとは仕組みや返済方法が異なる点を理解しておくことが大切です。

親子で返済を引き継ぐ「親子リレーローン」や、自宅を担保に資金を借り入れる「リバースモーゲージ型住宅ローン」などがあります。

リバースモーゲージは毎月の返済を利息のみに抑えられる仕組みですが、将来的に自宅を売却して返済が必要です。売却しても返済ができない場合や遺産として残せないなど、家族への影響も大きいため、利用前に理解と話し合いが欠かせません。

■よくある質問(FAQ)

老後の住まいについては、「賃貸と持ち家のどちらが安全か」「高齢でも賃貸は借りられるのか」「持ち家は売却できるのか」など、具体的な疑問を持つ方が多く見られます。住み替えや資金計画を検討する中で、判断に迷う場面も少なくありません。

ここでは、こうした代表的な質問について、ポイントを押さえて簡潔にまとめました。

・老後は賃貸と持ち家どちらが安全ですか?

結論として、どちらが安全かは一概にはいえず、収入や健康状態、家族構成によって安心して住み続けられる住まいは異なります。

例えば、収入が安定しており修繕費の準備ができる場合は、持ち家の方が住み続けやすく、住居費の見通しも立てやすいため安心につながります。

一方で、将来の変化に柔軟に対応したい場合や、まとまった資金の確保が難しい場合は、賃貸の方が住み替えやすく、状況に応じた選択ができる点で安心感があります。

・高齢でも賃貸は借りられますか?

高齢でも賃貸住宅を借りることは可能ですが、年齢が上がるにつれて入居審査が厳しくなる傾向があります。収入の安定性や健康状態などが確認されることもあり、希望する物件に入居できないケースも見られます。

一方で、保証会社の利用や見守りサービス付き物件、高齢者向け住宅などを選ぶことで、入居できる可能性は高まります。ただし、条件によって選択肢が限られることもあるため、状況に応じた住まいの検討が必要になります。

・持ち家は老後に売却できますか?

持ち家は老後でも売却することは可能ですが、立地や築年数、建物の状態によって売却のしやすさは大きく変わります。需要のあるエリアや利便性の高い立地であれば売却しやすい一方で、条件によっては時間がかかるケースも見られます。

住み替えや資金化を考える場合は、売却に時間がかかる可能性も踏まえておきましょう。周辺の取引状況や市場の動きもあわせて確認しておくと、計画を立てやすくなります。

■まとめ|老後の住まいは「リスク管理」で選ぶべき

老後の住まいは、賃貸と持ち家のどちらが正解というものではなく、収入や健康状態、資産状況によって抱えるリスクが異なります。
賃貸には柔軟さというメリットがある一方で、入居制限や住み続けにくくなるリスクがあります。持ち家は住居費を見通しやすい反面、維持管理や老朽化によって住み続けることが難しくなるケースもあります。
こうしたリスクを踏まえた判断が、老後の住まい選びでは欠かせません。
老後の住まいについて少しでも不安や迷いがある場合は、一人で判断せず専門家に相談してみるのも一つの方法です。状況に応じた選択肢を整理することで、将来に向けた準備を具体的に進めやすくなります。
その一歩として、まずはお気軽にご相談ください。

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執筆者情報マイリノジャーナル編集部
■ 編集者:村田日菜子

みなさんの豊かな暮らしと住まいづくりをサポートしたい!
建築学科卒業後、住宅ジャンルを専門とするライターに。住宅購入からリフォーム、資金計画まで、難しい情報も分かりやすくお伝えします。

■ 監修者:原田 直生之

宅地建物取引士の有資格者

→詳しいプロフィール
編集者: マイリノジャーナル編集部
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